2009年9月5日土曜日

奥野穂(おくの みのる) 個展 

奥野穂、井上雅夫の両個展も今日が最終日(9月5日)となりました。


今回も引き続き、奥野穂氏の作品についてご紹介したいと思います。

奥野氏が作品のなかに必ず林檎を描くことは前回触れましたが、
林檎の色についても重要なことがあります。
今までの作品には赤色の林檎が描かれてきました。
しかし今回の個展では、林檎がすべて青林檎なのです!


"AORINGO 5" アクリル絵の具、綿キャンバス、39x55x3.5(cm)、2009年


奥野氏が中学生のときすでに
林檎を現実と非現実の境界にあるものとして
作品のなかへ描くというコンセプトは完成していたそうです。
当時その第一号として制作した作品に描かれた林檎が青林檎でした。

奥野氏は今年で50歳になります。
この歳になったらまた新しく人生を楽しもうと決めていました。
作家としても新たな展開に挑戦していくため、
一番最初に制作した青林檎を今回の個展で取り入れました。

制作技法も替わりました。
初期より、自身で撮った写真をPCに取り込み、
その加工したものをキャンバスに転写し
上からアクリル絵の具で描いていました。
ただ色をつけるのではなく、
その風景や人物の色を表現するために必要な色を
描く前にすべてパレットに作ります。
それを途中で混ぜ合わせることなく、的確にキャンバスに乗せていきます。
この行為によって、奥野氏はものの色を確かめ、
同時に写真と絵画の境界を探すのだそうです。

そして今回の新シリーズから、写真の転写をなくしました。
それは来年の個展に繋がって行きます。
制作はすでに始まっています。
100号、150号の大きな作品を制作中です。
一枚の作品に登場する林檎の数は
過去最多の200個近くになるそうです。。。

新しい作家人生を始めるにあたり、
奥野氏は10kg以上体重を落としました。
理由は、作品制作により力を入れ、
負担なく指先の細かな作業をするためです。
まさに決意の体現ですよね。

今回の奥野穂の個展についてはこちらよりご覧いただけます。

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作品一つ、個展一つにドラマがあります。
作品の内容だけでなく、作家や制作過程等についても
このブログでご紹介できればと思っています。