2009年9月25日金曜日

田中恒光(たなか つねみつ) 個展

9月21日(月)より10月3日(土)まで
田中恒光の個展をSpace Grayにて好評開催中です!


田中氏は1978年愛知県生まれで、
名古屋芸術大学大学院の同時代表現コース出身です。
学部1年生の頃から通って来てくれていました。
いろいろな作家たちから洗礼(?)を受けつつ
2000年から始めた個展も本展で7回目となります。

彼は山男です。
富士山へは年に3回程登ります。
他の山々へは数知れず。。。。。

霊峰と呼ばれ、それを一般的に認識されている山があるように、
一般的ではないけれど、古来から信仰の対象となり
聖域とされる山は、日本中の個々の土着文化と共に
数多く存在します。

田中氏の描く画面は、それぞれが山の一部です。
彼が心地よいと感じる、山の中のある領域です。
景色という概観にではなく、目にするものの形や色に和み、
励まされ、考えさせられることが
ある場所から場所までの間の
その領域だけで起こるのだそうです。


”漂” パネル、紙、アクリル絵の具、50x50 (cm)、2002年

心地よいと感じる形や色は人によって違うわけですが、
田中恒光氏が皆様に伝えたい”山のとある領域”には
そこにあるものが何であるかというよりも、
視覚でとらえるシンプルな情報を純粋に受け止めた上で
彼自身が吟味して、心底いいなぁと思える要素が盛り込まれています。
それらを抜き取って、家のどの部屋にいても山を感じることができるように、
そのまま画面に移したものが作品となっています。


パネル、アクリル絵の具、51.5x72.9 (cm)、2008年

ひとつひとつの作品から
種類の違った鳥たちのさえずりが聞こえてきそうです。


これまでの代表的な作品をご覧頂くことができます。

本展は今週土曜日までとなります。
是非ご高覧ください!


2009年9月21日月曜日

MATHEW NEO(マシュー ネオ) 個展

MATHEW NEOによる個展を、Space Whiteにて
本日9月21日 (月)から26日 (土)まで開催いたします。
またSpace Grayでは、10月3日 (土)までの二週間
田中恒光展を同時開催しております。


MATHEW NEO氏は東京在住の作家で、日本人です。
略歴等の詳細は非公開となっています。
毎回案内状も作らないので、当ギャラリーでも知る人ぞ知るです。

彼は出会いを大事にしたいと言っています。
案内を出して来ていただくというよりも、
運命が導いてふらりと展覧会に来ていただいた方に
ゆっくりみていただきたいとのことです。
ご縁は大切ですからね。

NEO氏の持論によると、
考え方というのは日々新しくなり変化するものであるから
一つの作品を完成したらそのままにしておくのではなく、
作りかえる、あるいは上から描き足すこともいけないことではないのです。
むしろそれは、その作品が進化したと考えるべきなのです。



今回展示している作品はすべて新作です。
と、いうよりは、すべて進化した作品です。
上の写真の向かって左と右側の作品は、1995年に制作した作品に
新しく制作した作品を重ねています。

美術作品に対してなにが常識で、なにが正しいというものもありません。
考え方はいろいろあり、おもしろい発想は自由というなかから生まれるものです。

そうでなければおもしろくありませんよね。。。

2009年9月15日火曜日

エマージング・ディレクターズ・アートフェア「ウルトラ002」

今年もやってまいりました、日本の先鋭現代美術ディレクターによる 秋の芸術まつり!
ULTRA!!!

今回は第一回であった昨年の2倍、50人のディレクターによって 
画廊単位ではなくディレクターの個人単位で出店し、
それぞれが推薦する作品を展示販売いたします。 
Gallery Kozukaの二代目・小塚真里繪は
1Fに出店しております!(昨年と同じ場所におります。) 
皆様お誘い合わせの上、どうぞご高覧くださいませ。

以下、アートフェアの詳細となります。
Gallery Kozukaからの出品作家等は、また後日お知らせさせていただきます。
お楽しみに!!

エマージング・ディレクターズ・アートフェア「ウルトラ002」 
 会期:2009年10月29日 (木)ー11月3日 (火・祝) 
 時間:11:00 - 20:00 
 会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)/スパイラルホール(スパイラル3F) 
   東京都港区南青山 5-6-23 
※電車案内:東京メトロ 銀座線、千代田線、半蔵門線 
     「表参道」駅 B1出口すぐ 
 入場料:スパイラル1F/無料、スパイラル3F/カタログ付き1000 円 

 オフィシャルスポンサー:art_icle 
 主催:ウルトラ実行委員会(現場商會+株式会社ワコールアートセンター) 

■ Web Site:
ウルトラ http://gemba-firm.com
スパイラル http://www.spiral.co.jp

2009年9月12日土曜日

小谷浩士(こたに ひろし) 個展

小谷浩士の大個展を今週19日(土)まで好評開催中です!


小谷氏がGallery Kozukaで展覧会を始めて
30年近くなります。
初期から完成度の高さには定評があります。

平面作品をもって、人が関わる空間を表現することに努めてきました。
空間とは、たとえば現在、過去、未来の時間が内在する空間、
意識と無意識が行き交う空間、
そして現実、非現実を体感する此処にある空間を指しています。

今回の個展では、上記のことに加えて
「楽しい記憶」が盛り込まれています。
単一的な色の画面のなかに、何かの輪郭や断片が見て取れます。
それをみると、子供の頃のなにか懐かしいことが思い出され、
少し切なくなるけれど自然と笑顔になる、
そんな楽しい気分にしれくれます。

また本展では、今までとは違ったことに挑戦しました。
まず、全ての作品がアクリル絵の具で描かれています。
そして個々にタイトルが付けられています。

はじめに、制作技法について。
作品は見た目やコンセプトで判断されることが多いですが、
制作技法を知ると内容がよりわかりやすくなったり、
作品ができあがる過程を想像することができて身近に感じられます。
美術作品をみる楽しさがより広がると思います。

今回の作品は全作新作新シリーズとなっています。
アクリル絵の具を画面にベタに塗ることは
小谷氏の作家人生において初めての試みです。

”不遊具 I” キャンバス、アクリル絵の具、130.5x 97.2x2.5 (cm)、2009年

今までの制作技法は、主に木炭を指に付け、
その指で擦ることによって濃淡を表していました。

”無題” キャンバス、木炭、116.7x80.4 (cm)、2003年

同じように、パステルの粉を指に付け、
指の跡を残すように紙に押しあてながら描いていく技法もあります。

”漂域” 紙、パステル、114.5x213 (cm)、1997年
撮影者:長谷川治憲

他には、パステルを削った粉とアクリル絵の具のメディウムを混ぜ、
それを筆にのせて色とりどりの細かな点をキャンバスにうっていく方法もありました。

”領域” キャンバス、アクリル絵の具、パステル、41.2x32 (cm)、1997年
撮影者:長谷川治憲



新シリーズでは、筆を使ってアクリル絵の具を塗っています。
もちろん5回塗りをしないと
ここまでマットな表面にはなりません。
ちなみに、色と色の境界線、一筆書きのような線は
すべてフリーハンドで描いています。


”眠りを支える II” キャンバス、アクリル絵の具、91.2x91.2x2.5 (cm)、2009年


タイトルは全ての作品に付けられています。
漢字三文字のものが多く、
作家曰く、演歌のタイトルみたいだそうです。。。。
ちなみに、小谷氏が一番気に入っているタイトルは
”顔シリーズ”の「水平天使」です。
会場で探してみてくださいね。


”顔シリーズ:夜に浸る” キャンバス、アクリル絵の具、33.4x24.3x2 (cm)、2009年

この一筆書きにも今回の作品にとって必然的な意味があります。
作品の受け手である皆さんにいろいろなことを感じ、思い、考えていただくことで
作品が作品として存在する意義を見いだすことができます。
画廊へ展覧会をみに行くということは、作品や作家を身近に感じ、
自分のすきなものに出会い、それを所有することができる
特別な機会だと思います。
現代に生きている作家たちが今後の日本の芸術文化を作り上げています。
しかしそれを応援するということも重要で、
その文化を方向付け、形を整えていくのだと思います。

2009年9月5日土曜日

小谷浩士(こたに ひろし) 個展

小谷浩士による大個展を、9月7日 (月)から19日 (土)まで
Gallery Kozukaのスペース3つ (Space White、Gray、Yellow)を使用して開催いたします。


今回のブログは、小谷氏の個展のための前説です。

小谷浩士は大阪に生まれ、愛知県立芸術大学油絵科修士課程を修了しました。

その後、名古屋を拠点として着実に作家活動を行っています。

1982年より、当ギャラリーにて個展をほぼ毎年開催しています。



"DW94C-32" キャンバス、木炭、パステル、194x388 (cm)、1994年

「絵画の方向 '94」大阪府立現代美術センター、撮影者:菊山義浩


製作技法は初期よりパステルや木炭を使用し、

キャンパスを塗りつぶしていくかのように描いていきます。



"領域" キャンバス、アクリル絵の具、パステル、41.2x32 (cm)、1997年

撮影者:長谷川治憲


人は歩行しながら意識と無意識の間を漂っています。

意識では空想や記憶という非現実な世界を思考のなかで巡りながら、

無意識で現実世界を五感によって認識しています。

小谷は絵画のなかの虚構の世界をどのように歩くことができるのか、

絵を描く行為を通して考えています。



キャンバス、木炭、73x73x2 (cm)、2005年


来週から始まる個展では、全て新作新シリーズとなります。

今までの作品から発展しながら、しかしまったく新しい作品です。


小谷浩士の個展は、

Gallery Kozukaにて9月7日 (月)から19日 (土)まで開催いたします。

どうぞご期待ください!


初期からの代表的な作品を、小谷浩士オフィシャルホームページからご覧頂けます。

また、Gallery Kozukaのオンラインストアにもラインナップされております。

合わせてご覧くださいませ。

奥野穂(おくの みのる) 個展 

奥野穂、井上雅夫の両個展も今日が最終日(9月5日)となりました。


今回も引き続き、奥野穂氏の作品についてご紹介したいと思います。

奥野氏が作品のなかに必ず林檎を描くことは前回触れましたが、
林檎の色についても重要なことがあります。
今までの作品には赤色の林檎が描かれてきました。
しかし今回の個展では、林檎がすべて青林檎なのです!


"AORINGO 5" アクリル絵の具、綿キャンバス、39x55x3.5(cm)、2009年


奥野氏が中学生のときすでに
林檎を現実と非現実の境界にあるものとして
作品のなかへ描くというコンセプトは完成していたそうです。
当時その第一号として制作した作品に描かれた林檎が青林檎でした。

奥野氏は今年で50歳になります。
この歳になったらまた新しく人生を楽しもうと決めていました。
作家としても新たな展開に挑戦していくため、
一番最初に制作した青林檎を今回の個展で取り入れました。

制作技法も替わりました。
初期より、自身で撮った写真をPCに取り込み、
その加工したものをキャンバスに転写し
上からアクリル絵の具で描いていました。
ただ色をつけるのではなく、
その風景や人物の色を表現するために必要な色を
描く前にすべてパレットに作ります。
それを途中で混ぜ合わせることなく、的確にキャンバスに乗せていきます。
この行為によって、奥野氏はものの色を確かめ、
同時に写真と絵画の境界を探すのだそうです。

そして今回の新シリーズから、写真の転写をなくしました。
それは来年の個展に繋がって行きます。
制作はすでに始まっています。
100号、150号の大きな作品を制作中です。
一枚の作品に登場する林檎の数は
過去最多の200個近くになるそうです。。。

新しい作家人生を始めるにあたり、
奥野氏は10kg以上体重を落としました。
理由は、作品制作により力を入れ、
負担なく指先の細かな作業をするためです。
まさに決意の体現ですよね。

今回の奥野穂の個展についてはこちらよりご覧いただけます。

ご質問、お問い合わせ等は、
Gallery Kozukaのホームページの左のリストにある
”お問い合わせフォーム”よりお願い致します。


作品一つ、個展一つにドラマがあります。
作品の内容だけでなく、作家や制作過程等についても
このブログでご紹介できればと思っています。