Gallery KozukaのSpace WhiteとSpace Yellowにて
開催いたします。
松井氏は神戸在住なのですが、名古屋の当ギャラリーにて
1980年頃から第一線を走り続けています。
グループ展は関西を中心に多数参加しています。
作風は、紙やキャンバスに
墨や水彩、色鉛筆を用いて描いた静物画。。。のようですが
静物画として描いているわけではありません。
物体というよりむしろ、物体の周りの空気感を表現している作品です。
だからこそ、物自体のたたずまいも引き出され、
凛とした空気感が感じられるのですね。
松井憲作の作品を嗜むための重要なポイントを2つ、簡単にお教えします。
下の作品では、湯飲みと植物がみてとれます。
松井憲作、和紙に墨、紙サイズ:38x54(cm)、2003年
※木の額に入れて展示しています 額サイズ:48x63.5(cm)
ポイント1:「影」
気づいた方もいらっしゃると思いますが、
物が置かれている面の影は描いてありません。
その理由のひとつは、松井氏曰く、
日本古来の描き方をすると影はないことのほうが普通であって、
影を加え出したのは西洋の方法が取り入れられてからだ
ということです。
影は何故必要かということを考える。。。
確かに、明治までの日本の絵画を思い出してみると
影ってありませんよね。。。
もちろん絵巻物などでは影を見たことないですし。
ポイント2:「浮遊感」、「不安定感」
影を描かないことによって鑑賞者に与えられることは
物の浮遊感と画面全体の不安定感です。
それらにより、物をとりまく空気を立体的に
一層感じることができます。
紙上の三次元ですね。
松井憲作、和紙に墨、紙サイズ:105x70(cm)、2005年
さらに、作品の紙自体を斜めにすることにより、
不安定感が増します。
というより、部屋の中に動きがでておもしろいですね。
その他のポイントはまた来週書きたいと思います。
まずは2点をおさえて、心のゆとりがほしいとき、
または心のゆとりがあるときに
ゆっくりと堪能していただきたいです。
画面が語り過ぎない静かな作品は、
日常の折に触れ、いろいろなことを考えさせてくれます。
そして気づくことができます。
とても何気ないけど、無いと不思議な感覚のする「影」。
あたりまえだけど、重力に逆らうと不安定に感じることなど、
考えれば考える程世界は広がり、
実は世の中っておもしろいことにあふれてるんだなぁと
しみじみ思えてきます。
代表作品やバイオグラフィー等をご覧頂くことができます。
松井憲作 展、是非ご高覧ください。